📊 構造的背景の深掘り
SpaceXがIPO後初の決算発表で、売上が前年比92%増と好調だったにも関わらず株価が7.5%下落し、ウォール街を動揺させている。その背景には、アナリスト予想の132.2億ドルを大幅に上回る184億ドルもの巨額な設備投資(前年比6倍増)がある。「SpaceXは、OpenAIやAnthropic、GoogleといったAI分野の主要プレイヤーに後れを取っており、その劣勢を挽回するため、この設備投資の80%以上をAIインフラに投じている」と報じられている。特に、Microsoft、Amazon、Googleといったクラウド大手に対抗し、計算能力を販売する戦略を採る。 CFOのブレッド・ジョンセン氏は、このAI投資が「1年未満で回収可能」と主張し、投資家に対し設備投資の考え方を変えるよう促した。実際、SpaceXはGoogleと月額最大9.2億ドルのAI計算能力提供契約、Anthropicとは3年間で月額最大12.5億ドルの契約、Reflection AIとは月額最大1.5億ドルの契約を締結している。さらに、今四半期の最初の数週間で「10月から稼働する」67億ドルのクラウドサービス収益を追加で契約したと明かしている。ジョンセン氏は、これらの契約と600億ドルのCursor買収完了を前提に、「年末までに年間経常収益(ARR)1000億ドルに達するペースにある」と強気な見通しを示した。2025年のSpaceXの総売上は190億ドル未満だったことを考えると、これは驚異的な成長予測である。 しかし、その一方で、SpaceXのAI事業は現時点では赤字続きだ。第2四半期には25.6億ドルの売上に対し12.6億ドルの営業損失を計上し、第1四半期も8.18億ドルの売上に対し24.7億ドルの損失を出している。この「計算能力の再販」という短期的な収益戦略は、イーロン・マスクが掲げる「Grokモデルや宇宙データセンター構築を通じたAIパイオニア」という長期的な野望とは乖離していると指摘されている。また、天然ガス燃焼タービンの使用を巡る訴訟で3.54億ドルの引当金を計上するなど、法的な逆風も存在しており、短期的な収益化と長期的なビジョンの実現、そして法規制への対応という複雑な課題に直面している。